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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第17章 ちーちゃんの夏休み♡partⅧ♡
***
「…あぁ、それだな。それにする」
フィッティングルームの鏡のなかのアタシに向かって雅くんがそう口許を緩める。
ただいま身に纏っているのは雅セレクトによる全身フルコーディネート。
グラデーションがかったリゾート柄のワンピースと、それに合わせられた小物たち。無論、そこには聖セレクトの"ひ"の字の欠片すら皆無である。
「あとはそうだな…」
アタシの背後のソファーにドッカリ深々と、腰を下ろして長い脚を組み、首を傾げながら目を細めダルそうに…
そんな横柄に見える態度は相変わらずだけれど、ふと口許だけが緩めれられた彼の表情は語らずとも上機嫌の証。
そんな彼と鏡越しに目が合えば、何気に好きなその顔に悩殺されたばかりのアタシの心臓は否応なしにとトキメキの音色を叩き出す。
「…こっちの方が好き」
すると不意に立ちあがり腕を伸ばしてきた雅くんに、背中に流れていた髪を掬われる。今朝、葵くんがややドレッシーに巻いてくれたものだ。
それをざっと片側に纏めて流した雅くんは、崩れないようにワンサイドヘアの簡単なアレンジを加えた部分にパールなどがあしらわれたバレッタを飾ってくれる。
それから、
─チュッ…
露わになったうなじに唇を落として軽い音をたてた彼は、
「まぁ、まあまあだな」
鏡面に向かい合うアタシをくるりと反転させ自分の方を向かせると、言葉とは裏腹にとても満足そうな表情を見せた。