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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第19章 秋の夜長に…♡
赤絨毯と淡い照明が灯る長い長い廊下をなるべく静かにできるだけ急ぐ。
無論一目散に向かうのは、アタシを待つ筈の彼の部屋だ。
そしてようやく…
「…雅くん?」
不幸中の幸いか。他の誰にも捕まらずたどり着いたその部屋の前、若干息を切らせたアタシはそう扉を控え目に叩いた。
怒ってるかな…
それとも寝ちゃったかな…?
"おっせーよ…"ってきっと不機嫌な顔で言われるんだろうな。
そんな彼の姿を思い浮かべるといてもたってもいられなくて、そわそわとしながら扉の前で返事を待つことしばし。
「…………」
あ、れ…!?
しかし一向に応答のない扉の奥。再び叩いた2度目のノックもただその音だけが夜の静寂に溶け消えるだけで。
「…雅…くん?入るね?」
…確かに、
一緒に過ごす約束をしていて、待っていたつもりが逆に待たせてしまったことは申し訳ないけれど…
一歩間違えればアタシのこの声に他の誰かが部屋の扉が開けかねない状況だということをあのオトコはわかっているのだろうか。
こんな風に誰かの部屋の前にいるところからの誘拐なんてのは日常茶飯事で…
隙あらばと横取りを目論む輩は魔王に王子に小悪魔と多々多数。