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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第19章 秋の夜長に…♡
だけどこれでリビングを抜ける間際、バーカウンターの上にシリアルナンバーが刻まれたバカラ製のクリスタルガラスの独創的なデキャンタが出しっぱなしになっていたことに納得した。
通るついでだからルイ13世と刻印されたブラックパール調のそれを元に戻しておいたけれど、放置した犯人はこやつだったとは…
まぁでも、流石に見るからに高そうだっただけはある。
互いに引き立て合う双方の芳醇な香りと、それ以上に…
「ちぃ…」
「…ッん───」
溶けた角砂糖よりも甘い瞳と唇で触れてくる雅くんに免じてあげようぞ。
紅茶と雅くんにうっとりとしていると、彼はカップをテーブルに下げる。
「ダメ、もっと…」
「また後で作ってやる…」
「違う…」
もう少し欲しかった気もしたけれど、できてしまったそれよりももっと欲しいものにアタシは素直に手を伸ばす。
「もっと…」
そしてミディアム丈に緩いパーマをあてた彼のプラチナヘーゼルの髪に指を通すと、
「…知ってるっつーの」
抱き締めるようにベンチチェアにアタシの背中を倒した彼が、頬を指でなぞりながらそっと頬笑んだ。
今夜の雅くんはとても綺麗だ…
月光と水中照明のふたつの幻想的な揺らめきを浴びる彼は、いつにも増して強い引力でアタシを引き寄せる。
縮まる距離に吐息が唇に触れる。
それから深まるキスに暫くアタシたちは、月明りの下、互いの高まるばかりの体温を確め合うのだった───。