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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第19章 秋の夜長に…♡
「………お前の頭ん中にあるもん全部、"横浜"」
「───っ、」
あ…、、、
「今のお前にとっちゃ"すぐそこ"で済む話じゃねぇだろうが」
あぁ…
「…………」
あぁぁ…
告げられた地名に若干ぼんやり気味の脳裏に浮かんでは消えていくその時の会話と風景。
そうあれはたしか…
「熱でもなきゃ例え思い付きで海の向こうとか言い出そうがどこまで行こうがなんにも言わねぇよ。けどな、今から横浜往復とか…
ただでさえオレは今すぐにでもお前を連れて帰ってベッドに寝かせてぇんだぞ」
「…うぅ、………ケチ」
「あのなぁ…」
交差点の赤信号。停車したタイミングでタメ息にサングラスを外した雅くんがこちらを向いて首を傾げる。
「そんな顔してもダメだっつーの。自分でわかんねぇのかよ。…熱、確実にあがってきてんだろうが」
「…ならワープして」
「できねぇよ」
額から降りてきた彼の手が首すじとパーカーの襟ぐりの間から胸元に触れ、感知した熱さがその表情を一層険しいものにする。
「……そんな捨てられた小犬みてぇな顔してんなよ」
「だって食べたいもん…」
「なら店なら他にもいくらでもあんだろ」
「あそこのがいい…」
「治ったら連れてくって」
「食べたいものならなんでもって言った…」
「だから…っ、あー!!もうっ…」
上昇の一途を辿る熱に侵食される理性と引き換えにタチの悪いワガママバロメーターが暴走して爆上がる。
それに伴い雅くんの困り顔も深くなって、とうとう…
「…言うこときけっつーの!!」
─ガバッ!!
「っッ───…!!」