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他人の妻、親友の夫
第10章 自分の妻、自分の夫
「すいません……理依さんも……外してもらえませんか……」

流石に目は見れなかった。
俯き加減で謝りながらお願いする。

「もういいんです、ありがとう……志步さん……」

秋彦が呟いた言葉が、結局志步を一番苛つかせた。

「よくないです! 秋彦さんがどうであれ……私はあなたに抱かれたいんですっ!!」
「志步っ……」

その一言が、海晴との夫婦生活に取り返しのつかない溝を作ってしまうことくらい分かる。

しかしもう、退けなかった。
このまま緩やかに崩れ壊れていくなら、お互いに浮気をしたということでイーブンにしてしまうという荒療法しかないという賭けに出た。

それに行き場を失った秋彦を救いたい。
そんな思いもある。

狂わされるほど彼にイカされたい。
そんな願望も、潜んでいた。
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