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他人の妻、親友の夫
第10章 自分の妻、自分の夫
『視る』ことより、虐嗜好より、なにより彼の根幹にあるもの。
秋彦を不全にさせている心因。
それを取り除けるのは自分しかいない。

「秋彦さん、これを」

猛々しい茎を握って引き寄せる。

「私に、挿れて下さい」
「無理だ」
「生で、いいです……」

パートナーを変えるときは避妊する。それは絶対条件だ。
秋彦は嗜虐という仮面が脱げかけた顔をする。

「私、出来づらい身体なんです……」

志步は一言づつ、はっきりと伝えた。
彼の目にはっきりと動揺の色が走ったことを、見逃さなかった。

「心配する必要はないんです」
「だからってっ……」

心に響いている。
志步は確かな感触を感じていた。

秋彦の根底に流れるもの、それは『自らの子供を作りたくない』というものだ。
志步は自分の仮説に間違いはないと確信していた。

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