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他人の妻、親友の夫
第2章 欲望の渇き
「お役にたてたなら……良かったです……」

それは口先だけの言葉でもなかった。
不思議と怒りも悲しみも薄れていた。

理依に海晴を奪おうという気持ちが微塵もなく、ただ愛する夫に自分の淫らな姿を見せたいという気持ちしかなかったからかもしれない。

「ありがとう……お陰で秋彦さんに見てもらえた……」
「なんでそんなことするんですか?」と訊きかけて止めた。
性癖に理由なんてないことを知っている。
志歩にも人に話せない性癖がある。それは夫にも話したことがなかった。

くしゅんっと理依が見た目通りの可愛いくしゃみをした。
初夏とはいえ夜の川辺は裸では寒すぎる。

「戻りましょう。風邪引いちゃいますよ」
「そうね。やっぱり夜は寒い……」

志歩は羽織っていたシャツを理依にかける。
しっかりしているようでどこか抜けている理依は先輩とはいえ時おり妹のようにさえ感じてしまうことがあった。
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