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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第8章 オレもキミが好きってことだよ
再び小さく頷く
「もし……もし良かったら、私と……っ」
恥ずかし過ぎて言葉に詰まり、ぎゅっと目をつぶった
「良かった」
彼女が呼吸を整え切らないうちに、男子の方が笑い出した
「他の奴に声かけてたらどうしようかと思ったよ」
「……え? え?」
女子生徒は自分の想像を遥かに超えた彼の返事に戸惑う
「だから、オレもキミが好きってことだよ、マネージャー」
野球部員とそのマネージャー
二人はそういう関係だった
「じゃあ、あの……これから宜しくお願いしますっ」
「うん、よろしく。
陽菜乃」
名前で呼ばれ、陽菜乃は顔を赤らめる
「うん、斎藤く……克巳」
その日の帰り道、当然のことながら陽菜乃はいない
「陽菜乃ちゃん、告白成功したらいよ」
美和の報告に凪は反応に困った
「あー……」
「野球部の人だって。斎藤克巳くん。知ってる?」
“野球部”という単語に凪の顔が僅かに強ばる
“マネージャーになったことは知ってたが……まさか恋人ができるなんてな”
「そんなんいちいち覚えてねぇよ」
「そっか……」