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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第8章 オレもキミが好きってことだよ



楽しいはずの日に、思いがけず重苦しい雰囲気が立ち込める



「……じゃあな」



その一言を残して、凪は自分の部屋へと向かう



「あ、凪……!」



美和は引き止めかけたが、その声は小さく、彼には届かなかった−−−







コンコン



「お兄ちゃん、入っていい?」



ガチャ



陽菜乃がドアに手をかけるより早く、向こうから扉が開く



「……」

「?

何?」



黙って見下ろされて陽菜乃は顔をしかめた



「何って、そっちが用あんだろ」

「え、ああうん」



兄妹の間に不自然な空気が流れる中、陽菜乃は凪にチョコレートを差し出した



「私からじゃないよ。美和ちゃんから」

「ああ、そうか」



ジッ



「な、なんだよ」

「食べないの?」

「後で食う」

「えー、今食べて」



何やらにやつきながら陽菜乃はスマホを構える



「なんのつもりだよ!」

「美和ちゃんにちゃんと食べたよって教えないと。お兄ちゃんのために頑張って作ったんだから」



陽菜乃の態度はどうも引っ掛かるが、そう言われては食べないわけにもいかず。



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