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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第2章 次は、きっと−−−
「お前がぼーっとしてただけだろ。すごい顔してたぞ」
「ちょっと……お父さんに嫌気が差して」
美和がそういうと、
「一回夜歩きでもしてみりゃ、見る目も変わるかもしんねーぞ」
などと、笑って言う凪
「……それは、絶対ないけど」
美和が呟くと、今度は珍しく声を立てて笑っていた
“凪、今日はなんか柔らかいな”
−−−当たり前だった
どこの世界に、愛する人と出掛けることを喜ばない男がいるだろうか−−−
水族館までは電車で30分ほど
二人にとっては休みでも、普通の平日、電車はサラリーマンで激混みだった
だが、美和にはそれ以上に問題が−−−
“近い……っ”
電車に乗り込んだ瞬間、凪は美和の手を引いてドアの傍の角を確保していた
美和を角に立たせると、自分はそれを守るように美和の後ろの手すりを掴む
真横には凪の腕
目の前には凪の胸
いわゆる“壁ドン”状態
“痴漢とかが心配なんだろうけど……っ”
美和は顔を真っ赤にして俯いていた
鷹のように鋭い目をして周りを警戒する彼氏に守られながら−−−