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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第2章 次は、きっと−−−
凪にとってはペンギンよりも、美和の方が遥かに可愛いと思えた
「凪、全然食べてないね」
ふと気が付くと、美和が心配そうに覗き込んでいる
「いや、ちょっと考え事してただけだ」
「そう、あと30分でイルカショー始まっちゃうから、早く食べてね」
“……”
またショーか
午前中に見たアシカショーも、ありきたりなものばかり
正直、エサで釣られる動物などに拍手を送る気にはなれなかった
しかも、美和の楽しそうな顔を見ると、愛おしさと同時に激しい嫉妬心を感じる
自分でさえ彼女をこんなに笑顔にすることはないのに。
“馬鹿の一つ覚えのくせにっ”
凪がいるからこその笑顔なのだと、そこまで分かっていたら彼はもっと器の大きい人間になっていただろう
「凪ー」
彼女に急かされながら、動物への妙な嫉妬心を抱いたまま残りをかき込む凪であった−−−
「良かったー、平日だからまだ席残ってるね」
美和はどんどん前の方に進んでいく
「ここにしよっ」
そう言って彼女が示したのは、前から4列目の席
一つ前までは“びしょ濡れゾーン”と書いてある
しかし、心なしか美和の選んだ席の下も湿っている気が……