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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第2章 次は、きっと−−−
辺りを見渡せば、その列よりも前に座っている客は数えるほどしかいない
しかも、三列後ろの人でさえ、全員がレインコートを着ている
「おい、美和……」
凪は嫌な予感を伝えようとした
美和は既に泳ぎだしているイルカたちに夢中になっている
「多分、この席は……」
「みなさーん、こーんにーちはー!」
凪の注意(未遂)も虚しく、ショーの開始が告げられる
「まず、イルカたちからこんにちはのジャーンプ!」
バシャーン!
「キャー!」
あちこちで楽し気な悲鳴があがる
「えっ、ここも濡れるんだね!」
「……」
あまりダメージを受けていないらしい美和の隣で、黙り込む凪
その髪から、大量の雫が滴り落ちる
“……”
もう楽しむどころではなかった−−−
「馬鹿かお前はっ!」
ショーが終わり、凪は美和を怒鳴りつける
二人ともシャワーを浴びたようになっていて、このままでは何処にも行けない状態だった
「ごめんなさい……」
美和はさっきまでとは打って変わってしゅんとする
カバンの中からハンカチを取り出すと、
「これ、使って……?」
というが、ハンカチでどうにかできるものではない
「……さっき売店で土産用のバスタオルあったから買ってくる。ここで待ってろ」