この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第2章 次は、きっと−−−
「……早く拭け」
しばらくしてバスタオルを差し出した凪
「これ……」
美和は凪の意外性に目を丸くした
「好きなんだろ? ペンギン」
たくさんのペンギンがついた、可愛いバスタオル−−−
「……ありがとう」
“凪でもこんなチョイスできるんだ”
などと失礼なことを考えてしまう
「いいから早く拭け」
そう言われて慌てて髪を拭い始める
「……もうどこも見れねぇな」
凪が時計を見ながらボソッと呟いた
見ると、4時を少し回っている
体が乾いたらすぐに出なければ門限に間に合わなかった
楽しみにしていた白くまも、くらげコーナーもまだ見ていない
「……また来れば良いよ」
“次は、きっと−−−”
その微笑みが、凪には今日見たどの笑顔よりも愛おしく感じた−−−
帰りの電車は行きよりも少し空いていた
座った瞬間に、襲ってくる睡魔
“肩…借りたら嫌がるかな……”
そんなことを考えているうちに凪に寄りかかって寝てしまう美和
その頭に凪の手が触れる−−−
しかし、その直前で凪は手を下ろした
その顔には、またあの表情が浮かんでいた−−−