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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第3章 本当の自分を見せて



凪はくじ引きで同じ班になった女に目をやった

自分のことで騒いでいるのは明らかで、怒鳴りつけてやりたかったが、そういう馬鹿な女は経験上相手にしないようにしている

彼女がかつて美和と対峙したことを知っていれば彼はもっと別の対応をしただろうが。



「じゃあ出発するぞー。はぐれるなよー」



点呼が完了し、飛行機の搭乗口へと向かう

四泊五日の九州修学旅行の始まりだった







「ねー、和泉くんてどうやって勉強してるのー?」



“なんで……っ

よりによってコイツが隣なんだっ”



凪は隣に座る田中奈桜と目を合わせないように窓の外に顔を向けた

彼女が凪の隣になったのは決して偶然ではなく、そうしたかったのが奈桜だけだったから必然的に決まったことなのだが、修学旅行の話し合いさえ参加しなかった凪は知る由もない



「……してない」


凪は懸命に苛立ちを抑えようとするが、相手はそんなことお構い無しだった

凪を振り向かせようと、小さく袖を引っ張る



「和泉くぅん……」



上目遣いで凪を覗き込む



「……」



かなり、うざい。



“森継の方がマシだな……”


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