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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第3章 本当の自分を見せて
事件が起こったのは、二日目のことである
自由行動で川下りをしていた凪の目に、岸でふざけている男子高校生が映った
凪と同じように柄の悪そうな男たちだったが、タバコまで吸っていて、凪より明らかにタチが悪い
凪がなんとなくその男たちを見ていると、向こうもこちらに気づいたらしくお互い目配せをして何か言い合っていた
と、ふいに近くに停めていた自転車に跨って去っていった
“あの自転車……観光客用のやつだったな。あいつらも修学旅行かなんかか”
ぼんやりとそんなことを考える
この時は、その高校生たちなど気にも止めていなかったのだが−−−
「ほい、ありがとうございましたね」
しばらくして舟が止まり、皆ぞろぞろと降りていく
「足元気ぃつけてな」
おじさんがそう声をかけた瞬間、
「きゃっ」
と声が上がった
声の主は−−−言わずもがな、奈桜である
わざとそうしたことは、誰の目にも明らかだった
「ごめんなさい、バランス感覚悪くて……」
などと言いながら、凪にぴたりと寄る
今度こそ自然に、と手を伸ばしたとき−−−
「きゃあ!」