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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第3章 本当の自分を見せて
またもやバランスを崩して悲鳴を上げる奈桜
今回はわざとかどうか分からないが、結果は一回目と同じでは済まなかった
バシャーンッ
派手な音と水しぶきを上げて落ちたのは−−−
「……くそっ」
−−−凪だった
「ご、ごめんなさいっ!」
凪にしがみつく、だけのつもりが、突き落とす形となってしまったことに慌てる
「ごめんなさい、今のは本当にわざとじゃないの!」
勢い余って今までのことが故意であることも認めてしまった
「黙れ!」
このことにはさすがの凪も我慢ができなかったらしく、差し伸べられた手を掴むことなく岸に上がる
「ハッハッハッ、災難やなぁ。服乾かしてやっから、あっちで着替えて待ってな」
船頭さんはいつ誰かが落ちてもいいように替えの服を常備している
凪はそれを受け取り、押し黙ったまま人気のない場所に移動した
「……めんどくせ」
服をビニールから出しながら悪態をつく
チリンチリン
後ろから自転車のベル音が聞こえ、サッと振り向いた
そこにいたのはもちろん、先ほどの学生である
相手にするのも面倒くさいと思ったのか、凪は無視して作業を再開した