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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第3章 本当の自分を見せて
「ちょ…凪っ……」
抵抗しようとする美和の手を捉える
「これが、本当の俺だったら?」
自分を覗き込む、不安げな瞳−−−
「……何が本当の凪かなんて私にも分からない。けど、なろうと思えばどんな風にもなれる」
きっぱりと言い切った美和をじっと見つめ−−−
安心したのか、凪は力を抜いた
「私は皆と一緒にいる凪が見たい……それに、陽菜乃ちゃんとかいるじゃん。ちゃんと伝わってると思うよ」
「あぁ……」
そうだ−−−
そうだったな−−−
「あとほら、塚田くんなんて昔っから凪と一緒じゃん」
「塚田……?」
“ああ、寅のことか”
寅次郎は、残念ながら留年して再び高一として頑張っていた
「あいつは……」
と言って、凪はふっと笑う
“あいつも、他の奴と同じで外面への憧れで傍にいただけだろうが……”
寅がいて救われたのもまた事実かもしれない、と思った
彼がいなければ、もっと深い孤独に苛まれていただろう
「……ただの馬鹿だ」
また少し笑い、強く美和を抱き締める
今度は美和も、その広い背中に手をまわした