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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第3章 本当の自分を見せて
美和の念押しに、
「……ハァ、わかった」
しぶしぶ答え、凪は部屋を後にした
「皆様、当機は間もなく……」
翌日、一人の先生に連れられ一足先に東京へと戻る彼は、窓の外に目をやり物思いに耽っていた
「アイツ、相当ヤバいらしいぜ」
そんな噂が流れるようになってから、凪は徐々に自分はそういう人間なのだと思い込むようになった
学校でコトを起こすことはほとんどなかったが、街でわざと危ない所を歩いては絡んでくる人間を殴り、蹴る
もちろん、負けて痛い思いをすることもあった
だが、怒りにまかせて闘っている間は、全てを忘れられる
わざと相手が先に手を出すようにけしかけ、自分を正当化して現実から逃れることに快楽を見いだした
その怒りと悦びが、彼の全てだった−−−
だが、美和に惹かれ、美和と過ごすようになってから、その手段は消えた
美和の為に奮った拳を最後に、もう自分のためだけに暴力を振るわないと−−−
そう決めたはずだったのに−−−
“違ったんだよな……”
確かに俺は怒りのままにアイツらを痛め付けた
しかも、アイツらから受けた怒りだけじゃない
俺を見ようともしない母親たちと決意の揺らいだ俺自身への、苛立ち−−−
それも上乗せした