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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第4章 素晴らしかったわ
陸はすっかりやる気をなくしてしまった先生に一礼し、
「行こうか」
と歩きだした
「おい、ちょっと待て! 旅行って嘘だろ? 何を……」
立て続けに聞いてくる凪にため息をつき、陸はゆっくりと話し出した
「うーん、どこから説明すればいいのかな……まぁ、そんな難しいことじゃないんだけど。
お前が問題起こしたって電話を取ったのが陽菜乃だったんだよ。母さんもいなかったし、二人で相談してこの件は隠すことにした」
陸は凪を見ていたずらっぽく目を光らせた
「隠すってどうやって……」
「まぁ、さっきの約束もあるし、いつかはばれるだろうけど。とりあえずお前は大学院の部屋で匿うことにしたから」
駐車場に着き、凪に車に乗るよう促す
「犯罪くせぇな」
凪は助手席に座りながら言った
「ハハッ、本当の犯罪にはかなわないよ」
“……嫌味か?”
凪は相変わらず馬の合わない陸に苛立ったが、兄と妹が自分のためにしようとしてくれることはよく理解した
“あいつの言う通りだな”
凪は美和を思い出して黙り込む
そんな凪に陸も何も言わず、ただ運転を続けた