この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第4章 素晴らしかったわ
一時間ほどで陸の通う大学院に到着する
「着いたぞ……凪?」
隣を見た陸はあっけにとられた
“凪が人前で寝るなんてなぁ”
しかも自分の前で。
静かに寝息を立てている弟をじっと見つめる
昨日はあまり眠れなかったのだろう、熟睡しているようだった
“起こすのも可哀想だけど、僕もやることあるからなぁ”
仕方ない、と思いつつも陸が取り出したのはスマホである
にこにこしながら、ぱしゃり。
“凪熟睡中”
写真を添付し、陽菜乃にメールをした
“次いつ見れるか分からないから、もう一枚撮っておこう”
陸は再びスマホを凪に向ける−−−
そこには、弟の可愛い寝顔……ではなく、ものすごい形相で睨む凪の姿があった
「あれ、起きたんだ」
何事もなかったかのようにカメラを向けたまま微笑む陸
「……何してんだ?」
凪が怒らないはずがなかった
「いや、ごめんごめん。起こすつもりはなかったんだよ。もっと熟睡してるかと思って」
陸は笑って謝るが、
「そういうことじゃねぇよ!」
凪が腹を立てているのは起こされたことではない