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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第4章 素晴らしかったわ
「今すぐ消せよ」
陸は不思議そうな顔をすると、
「えー、写真? なんのことかなぁ」
わざとらしくとぼけてみせた
「てめぇ……」
「消してもいいけど、陽菜乃にも頼んだ方がいいぞ」
その言葉に凪は目を見開く
「この……ばか陸っ」
もう怒鳴るのも時間のムダだと思ったのか、そっぽを向いてしまった
そんな彼を見て、陸はまたしても微笑む
「何にやにやしてんだよ」
「えっ、いや別に」
陸は慌てて顔をそらすと、ドアを開けて外に出た
「はぐれるなよ〜」
子供扱いするな、と凪が呟く
“ばか陸って……久しぶりに言われたなぁ”
小さい頃、兄弟喧嘩をした時の凪の癖
もうどうしようもなくなると、この言葉で降参したものだった
「……なぁ、どこに向かってんだ?」
しばらくして、凪が声をかけた
「あれっ? ごめん、考え事してたら間違えた」
“……ばか陸が”
「いやー、うっかりいつもの研究室に行くとこだったよ。お前は宿直室にいてもらうから」
「宿直室? 相部屋ってことか?」
凪はそんなのごめんだという感じだ
「いや、実験の責任云々あるからグループに一部屋あるんだけど、僕のグループはたまたま今週僕が担当だから。良かったね」