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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第4章 素晴らしかったわ
「さっき……女が忘れ物を取りに来た。あれは誰だ?」
「女って、ゆかりさんか!? うちのチームに女性は彼女しかいないし……何か言われた?」
陸は珍しく焦っているように見える
「いや、別に」
言われたどころではなかったが、それは黙っておくことにした
「本当に?」
心配そうに聞いてくる陸
やはり、どこかおかしい
「……なんでだ」
凪が尋ねると、陸は唇を舐め、自分を落ち着かせるように大きく息を吐いた
「あの人はすごく優秀で面倒見がいいんだけど……
男癖が悪いんだよ。ものすごくね」
“和泉くんのあの柔らかい雰囲気も良かったけど……弟くんはまた全然違う感じで愉しめそう”
実験室に向かいながら、神中ゆかりは妖しげな笑みを浮かべた
“どうやって捕まえようかしら”
ゆかりは携帯のアドレス帳を開くと、“陽菜乃ちゃん”の文字を探し出した
理系希望の陽菜乃が兄に連れられて見学に来た時に交換した連絡先
時々は連絡も取るし、凪のことも少しは聞いていてかねてから興味はあったのだ
“まず身近な女の子から入って、警戒心を解くのが定石よね”