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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第4章 素晴らしかったわ
「お兄ちゃん、彼女いるんですけど、その人にゾッコンなんですよー」
「まぁ、そうなの……」
ゆかりは口に手をあててなにやら考え込む
「そんなにしたら嫌われるよってくらいなんですけど、その人のおかげでお兄ちゃんも変われたのかなって」
「それは……ぜひ会ってみたいわね」
先ほどの様子はどこへやら、何事もなかったかのように微笑む
「じゃあ今度言っときますね! お兄ちゃんの幼なじみなんですけど、理系なのでゆかりさんの話聞きたがると思います」
“彼女持ち……背徳的ね”
ゆかりは相変わらずにこにこと陽菜乃の話を聞いていたが、頭では全く別のことを考えていた
“でもあの感じだとセックスはまだね。フフッ、彼氏のハジメテ奪っちゃうのはちょっと酷かしら”
「あの……ゆかりさん?」
「えっ、あぁ、ごめんなさいね。ちょっとぼうっとしちゃって」
陽菜乃に呼び掛けられ、慌てて自分を現実に引き戻す
「それで、提案なんですけど……今年の浴衣祭り、一緒に行きませんか?」
「なんで今年も」
凪はぶつぶつと文句を言った
「去年はあんまり楽しめなかったでしょ。今年は美和ちゃんも家から一緒だから」