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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第4章 素晴らしかったわ
「はいっ、回って」
陸の着付けを終え、最終チェックに入る
ガチャ
「お兄ちゃん! 遅いよ!」
どこ行ってたの、と頬を膨らませる陽菜乃
「まだ30分もあるだろ」
珍しく約束を守った上、早目に帰って来たというのに。
「浴衣着る時間ないじゃん!」
「着ないってんだろ!」
浴衣祭り直前、喧嘩する兄妹と、その間で暗い顔をする長兄がいた−−−
「お久しぶりね、凪くん」
前回の出来事など忘れたかのように朗らかな笑みで迎えるゆかり
「あなたが彼女さんかしら?」
「初めまして、川本美和と言います」
何も知らない美和は、普段通り丁寧に挨拶をする
「陽菜乃ちゃんに聞いてるわ、理系志望なのよね。何か知りたいことあったらなんでも言ってね」
「ありがとうございます!」
さすがにリケジョなだけあって、陽菜乃も含めて女子三人はすっかり意気投合していた
「凪」
そんなゆかりを横目で見ながら、陸が凪を肘でこづいた
「なんだよ」
凪は子供のように不快感を露にする
「気をつけろよ」
「誰に」
ゆかりさんに決まってるだろう、と言おうとしたところで、
「ちょっとー、置いてくよー」