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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第5章 貴女の全てを愛します
後ろのドアを開け、凪を後部座席に寝かせる
「知らせてくれてありがとうね」
「ううん……」
そこには、俯いた美和の姿もあった
“どうしてっ……?”
美和の膝に乗せられた凪の頬に涙が落ちる
バタン
「ねぇ、陸にぃ」
助手席に座った陽菜乃は、隣の兄に話し掛けた
「ゆかりさんは陸にぃの彼女じゃないの? 陸にぃはゆかりさんが好きなのかと思ってたよ」
車内に重苦しい空気が流れ、耐えられなくなった陸はエンジンをかける
「ねぇ、ちゃんと説明してよ。説明してくれてたら私…私……」
陽菜乃は少し涙声になった
ゆかりを誘ったのは自分
からかい半分で、兄とも仲が良いからと彼女を連れてきてしまった
陸は本気で嫌がってたのに、それすら気付かずに−−−
「陽菜乃のせいじゃないよ」
前を向いたまま陸が言った
「どうなるか分かってたのに、何もしなかった僕が悪いんだ」
「分かってたって、どうして? そこを教えてほしいの」
だが、陸は黙ったままだ
「いつまでも子供扱いしないで」
少し間を置いて、彼は話し出した
彼女との出会いから、全てを−−−