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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第5章 貴女の全てを愛します
一年と少し前
大学院に入った陸は、どの研究チームに入るか迷っていた
そんな陸に声をかけたのがゆかりだった
「君、この研究に興味ない?」
その頃からゆかりはグラマーな雰囲気を出していたが、陸が驚いたのは女性ということだった
聞かされた研究内容は、あまり女性が関わるタイプのものではなかったから。
「良かったら、見学していってね」
そして陸は、研究に打ち込むその熱心な姿に純粋に憧れを抱いたのだ
「ゆかりさん、ちょっといいですか」
「ゆかりさん、この論文見てもらえますか」
彼女に少しでも近づきたくて、いつもゆかりに頼っていた
頼れる先輩
そんな先輩から声がかかったのは、夏真っ盛りの頃だった
「和泉くん、私のこと好き?」
シャワーを浴びて部屋に戻った陸に、ゆかりがそう訊ねてきた
「え……?」
突然過ぎる質問に、陸は言葉を失う
好きか嫌いかと言われれば好きだが、憧れイコール愛情かと聞かれると……
「考えてみて」
何か含みを持たせた視線を投げ掛け、シャワー室に向かうゆかり
“……今日は帰るんじゃなかったんですか”