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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第6章 そして甘い口づけを
こんな時までわがままな弟に陸は目を回す
「お酒も媚薬も、出して抜くしかないだろ。
だいたい、お前がゆかりさんに騙されたのが悪いんだぞ」
「お前に言われる筋合いはない」
あらら、と陸は困った顔をした
「結構聞いてたんだね」
とにかく早く飲めと凪を急かす
「……フゥ」
一気に水を飲み干すと、凪は視線を落とした
「もう美和に会えねぇな……」
ペチッ
「ぁ?」
そんな凪の頬を陸は両手で挟んだ
「それは逃げだろ。美和ちゃんに謝れよ」
「許してもらえるわけないだろ」
陸の手を振り払い沈んだ声で言った
「それを決めるのは美和ちゃんだよ。お前には謝る義務がある。彼女にその決定権を与える義務が」
陸は凪の顔を掴んで無理やり自分の方へ向けた
「大切な人なら、喪いたくないならなおさら」
普段の彼からは想像も出来ないような気迫
凪は思わずこくこくと二回頷いた
フッ…
陸は軽く微笑むと、凪の頭をポンと叩いた
「大丈夫だ、お前は許してもらえるよ」
美和ちゃんは優しいからな
「……?」