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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第6章 そして甘い口づけを
軽蔑するように笑う
「ううん、今日は貴女に用があるのよ」
「……」
陽菜乃は疑うような視線を向けるが、ゆかりは平気で堂々と立っている
「ハァ……わかりました」
“お昼はシフト入ってないし”
「一時に駅前のファミレスで」
「あら、学校内じゃだめなの? ほら凪くんのクラスは確か……」
陽菜乃のものすごい視線に、ゆかりは口をつぐんだ
「クスッ……分かったわ、用心深いのね。待ってるわ」
ゆかりが消えた後もしばらく陽菜乃は動けずにいた
一体自分に何の用なのか−−−
「クラスの用事はどうした」
「へっ!?」
いつの間にか横に立っている兄に陽菜乃は素っ頓狂な声を上げる
「い、いつからそこにいたの?」
「だいぶ前からだな。ずっと一人でぼけっと立ってるから、頭がおかしくなったのかと思ったぞ」
ずっと、一人で−−−
どうやら割と長いことここにいたらしい
“じゃあゆかりさんは見てないんだ”
ほっと胸を撫で下ろす
「なんでもない! じゃね!」
“陽菜乃……何かあったのか?”
妹の不自然な笑顔に兄は胸騒ぎを覚えていた−−−
陽菜乃は誰も見ていないことを確認し店内に入る