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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第6章 そして甘い口づけを
「いらっしゃいませー」
「あの、待ち合わせで……」
その時、こちらに向かって手を振るゆかりの姿が見えた
「あっ、いました。どうも」
陽菜乃が席に着くと、ゆかりはまるで仲の良い友達かのように話し掛けてきた
「何食べる? 私は……」
「紅茶だけでいいです。長居する気はありませんから」
「私だけ食べるのは申し訳ないわ。奢るから……」
「結構です。気にしないで下さい」
陽菜乃が冷たく言い放つと、ゆかりは肩をすくめる
「そう」
店員を呼んで注文を済ますと、今度は陽菜乃が切り出した
「で、本題は?」
ゆかりは陽菜乃の態度に少しため息をついた
「そんなに邪険にしないでちょうだい。今日は謝りたかっただけよ」
「謝る?」
陽菜乃は聞き返したが、どのような答えでも受け入れる気はなかった
「貴女を利用してしまったこと……傷ついたでしょう? ごめんなさいね」
わざとらしい言葉遣いに苛立つ陽菜乃
「私のことはどうでもいいんです。他に何か無いんですか?」
「他に、ねぇ……」
ゆかりはまたしてもわざとらしく考え込む