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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第7章 さようなら
「いえ、それほど」
陸の返事にゆかりはにこりと微笑むと、向かいの席に腰掛ける
「飲み物は?」
「まだ決めてません。コースとかも……僕はよく分からないんで、ゆかりさんに任せますよ」
「あら、そう」
店員を呼ぶと、慣れた様子で注文していくゆかり
「少々お時間がかかりますが」
「構わないわ」
注文を終えると、陸をじっと見つめた
「……久しぶりね、こうしてゆっくり話すのは」
「そうですね……」
陸の様子に、ゆかりは少し困った素振りを見せる
「あ、その……」
その時、乾杯用のシャンパンが運ばれてきた
ゆかりは大きく息を吸い、そして吐く
「とりあえず乾杯して、昔話でもしながらディナーを楽しみましょう」
朗らかな笑顔でそう言った
「クリスマス・イブに」
「乾杯」
カチン
「和泉くんが最初に実験したとき、覚えてるわ。
先輩たちに見られて緊張して、フラスコ割っちゃったのよねー」
「もう……忘れて下さいよ」
食事をしながら、二人は昔話に花を咲かせた
心なしか、陸の顔からも少し笑顔が見られる