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スレイブ・プレイ! 氷華女子大学アイスホッケー部 愛奴化計画
第8章 氷上の女薙刀士の敗北、許されざるディープキス
 となれば、フリーなのは左右のウィングフォワードだ。

(その二人を私に引きつけて……)

 パスを優に出すか、翼花に出すか?
 という判断をしようとした雪希だったが、気づけば氷裂のウィングはどちらも自分を追って来てはいなかった。

「えっ……? ノーマーク!?」

 ならば、そのまま自分でシュートすれば良かったのだが、チラリと目の端に入った光景に、雪希は一瞬虚を突かれた。

 氷裂のフォワードの二人が並んで、雪希たち氷華サイドの陣内へと全力滑走していたのだ。

「なっ……!?」

 言葉を失う。

(馬鹿なの!? おもいっきりオフサイドじゃない!)

 オフサイドとは!

 アイスホッケーだけでなく、サッカーやアメフト、ラグビーなど、多くのスポーツに存在する反則である。

 敵の陣地に先回りしてボールが来るのを待つという戦術は卑怯であるという思想によって設けられたこのルールは、形こそ違えどいずれもボールより先に敵陣の一定範囲内へ入ることを禁じている。

 アイスホッケーの場合は、中央のゾーンと敵陣を区切るブルーのラインより向こうへは、パックより先に攻撃側の選手が侵入してはいけない。

 つまり、氷裂のフォワード二人が今やっている行動はまるで意味がないばかりか、反則まっしぐらなのだ。

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