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社内恋愛のススメ
第5章 雷雨
「付き合ってないんなら、まだ俺にもチャンスない?その人とうまくいかなかったら、俺を見てくれる可能性は残されてるわけでしょ?」
「でも…私は井上くんの事、ただの同僚としか思ってないから…」
「分からないよ?会社の顔しか知らないんだから、可能性は未知数じゃん。だから、プライベートの俺も見て欲しいし、辻本さんのプライベートも見てみたい。」
なんて言えばいいんだろう、全然言葉が出てこない…
でも…
「私がその人を好きだから…今は、井上くんの気持ちには応えられない。もし、その人に振られたとしても、井上くんに甘えることはしたくない。井上くんのこと、同僚として、大事に思ってるから。会社で喋ったり、こんな風に呑みに来る関係でいたいのは、我儘かな…」
「俺は良き同僚を演じてろってこと?俺の気持ちを知っても?結構キツイこと言うね、辻本さん」
「ごめん…」
「分かった、もうイイよ。けど、俺が辻本さんの事好きなことは変わらないから。振られたからって嫌いになんかなれないし。保険でも受け皿でもいいから、俺がいるってこと、忘れないで…」
井上くんはそう言いながら、きっと、振られたからって好きな人を嫌いになって、すぐ他になんて行けないのは、私も同じことだ、と気づいたみたいで。
言葉の最後の方は尻すぼみだった。