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社内恋愛のススメ
第5章 雷雨
「え?」
「そこまで危機意識薄いと、襲われちゃうよ?」
逃げようと、振り解こうとしても、井上くんはビクとも動かなくて。
この人は男の人なんだと。
どんなに頑張っても、力では勝てない、という事実を突き付けられて、私はそこで初めて恐怖を覚えた。
「や、ちょ、う、ウソ、でしょう…?」
「このまま、入るのも帰るのも、俺次第、かな?」
「や、それは、流石に、ナイ、よね?」
「どうしようかな…」
私はふるふるとかぶりを振るしかできなくて。
「レイプって意外と訴えられないって、知ってる?被害者がさ、泣き寝入りしちゃうコトが多いんだって。
立証しようとすると、自分がどういう状況で、相手がどうだったか、詳細に第三者の前で説明しなきゃいけないでしょ?アレが苦痛で、黙っちゃうんだって…」
恐怖で、ポロリ、と涙が頬を伝うのが分かった。
ふるふるとかぶりを振りながら、何も言えない。
その時、井上くんの手が離れた。
「…冗談だよ。強引にでも、辻本さんを連れ込みたいって気持ちもあるけど、流石に犯罪犯す度胸はない。」
私は、恐怖のあまり、その場にへたり込んだ。
「ごめん、そんなに怖がると思わなかったんだ。悪ふざけが過ぎた…嘘だから、辻本さんを襲ったりしないよ。掴まって?」
そう言われても、井上くんの腕を素直に掴むことなんて出来なくて。
パシッと腕を払いのけ、ゆっくり、立ち上がる。
「帰る…ついて、こないで…」
泣きながら、1人、駅に向かって歩き出す。
「そこまで危機意識薄いと、襲われちゃうよ?」
逃げようと、振り解こうとしても、井上くんはビクとも動かなくて。
この人は男の人なんだと。
どんなに頑張っても、力では勝てない、という事実を突き付けられて、私はそこで初めて恐怖を覚えた。
「や、ちょ、う、ウソ、でしょう…?」
「このまま、入るのも帰るのも、俺次第、かな?」
「や、それは、流石に、ナイ、よね?」
「どうしようかな…」
私はふるふるとかぶりを振るしかできなくて。
「レイプって意外と訴えられないって、知ってる?被害者がさ、泣き寝入りしちゃうコトが多いんだって。
立証しようとすると、自分がどういう状況で、相手がどうだったか、詳細に第三者の前で説明しなきゃいけないでしょ?アレが苦痛で、黙っちゃうんだって…」
恐怖で、ポロリ、と涙が頬を伝うのが分かった。
ふるふるとかぶりを振りながら、何も言えない。
その時、井上くんの手が離れた。
「…冗談だよ。強引にでも、辻本さんを連れ込みたいって気持ちもあるけど、流石に犯罪犯す度胸はない。」
私は、恐怖のあまり、その場にへたり込んだ。
「ごめん、そんなに怖がると思わなかったんだ。悪ふざけが過ぎた…嘘だから、辻本さんを襲ったりしないよ。掴まって?」
そう言われても、井上くんの腕を素直に掴むことなんて出来なくて。
パシッと腕を払いのけ、ゆっくり、立ち上がる。
「帰る…ついて、こないで…」
泣きながら、1人、駅に向かって歩き出す。