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社内恋愛のススメ
第6章 雨降って…………
家にいる、証拠…?

私は、ベッドに置いている、クマのぬいぐるみのお腹を押した。

昔友達にもらったもので、いい歳してぬいぐるみなんて、とも思うけど、なんとなく捨てられずにそのまま持ってるもので。お腹を押すと喋る。
前に北川さんがここに来た時、床に落ちたこのぬいぐるみを、拾おうとしてお腹のあたりを掴んだら、急に喋り出したからびっくりしてまた落としたことがあるから。

『あのぬいぐるみか。じゃ、ちゃんと部屋に居るんだな』

電話の声が、ほっとしたのがわかる。

『出張じゃなきゃ、今すぐそっち行くのに…ったく。俺言っただろ?お前は可愛いから男には人気あるって。それは、返して言やそんだけ女として意識してしてる男がいるってことだ。今日は何もなかったならそれでいいけど…やっぱ公表した方が、牽制きくのかもな…』

最後は独り言のような感じで。

『ま、今日は何事も無かったってことなら、それで良しとしよう。まさか井上だって家まで追いかけちゃこないだろうし…ちゃんと戸締りして今日はもう寝ろ。明日、できるだけ早い新幹線で帰るから。帰ったらすぐ、迎えに行く。今後のこと、2人で考えよう。』

北川さんの声が、すごく優しくて。
今、そばに居られない事が歯痒い感じがすごく伝わってくる。
北川さんは、ちゃんと私のことを大事に思ってくれてるんだ、と感じて、嬉しかった。

おやすみ、と言って電話を切り、布団に入った。
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