この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
瞳で抱きしめて
第4章 不意討ち
「樹理さんが俺のこと一人の男として見れるようになったら、恋人にして…それまで、候補でいいから…意識してほしい」
そんなに切なそうな顔をされたら、拒否なんてできない。
泣きそうに歪めた顔で「嫌?」と聞かれて、私は思わず頭を振った。
「━━━━よかった…!」
私の答えを理解した瞬間、光は表情を緩めた。
いつもの、光の顔だ。
瞳の束縛から解かれたような感じがして、私の身体からもいくらか力が抜ける。
「ごめん、樹理さん」
「え?」
話の流れ的に、「変なこと言ってごめんね」という意味だと予想して顔を上げた私に、告白以上の不意討ちがかまされた。
「我慢できない」
「…!!」
強い力で光に抱きすくめられ、頬にキスされた。
新品のブレザーの生地の香りに包まれる。
すぐに身体を解放されたものの、私は呆然と突っ立っているしかなかった。
一方光は、何かかが吹っ切れたようなスッキリした表情で微笑んでいる。
告白直後と、心理的な立場が逆転しているのが一目瞭然だった。
「恋人候補になったからには、俺もう抑えないよ。…覚悟してね」
今まであまり気になってなかった光の身長が、ここにきてとても大きく感じた。
出来の良い弟というイメージが、この数分間で粉砕される。
「樹理さん、この飲み物運んじゃおう」
光はいまだに目を丸くしている私を促して、颯爽と店へと戻っていった。
そんなに切なそうな顔をされたら、拒否なんてできない。
泣きそうに歪めた顔で「嫌?」と聞かれて、私は思わず頭を振った。
「━━━━よかった…!」
私の答えを理解した瞬間、光は表情を緩めた。
いつもの、光の顔だ。
瞳の束縛から解かれたような感じがして、私の身体からもいくらか力が抜ける。
「ごめん、樹理さん」
「え?」
話の流れ的に、「変なこと言ってごめんね」という意味だと予想して顔を上げた私に、告白以上の不意討ちがかまされた。
「我慢できない」
「…!!」
強い力で光に抱きすくめられ、頬にキスされた。
新品のブレザーの生地の香りに包まれる。
すぐに身体を解放されたものの、私は呆然と突っ立っているしかなかった。
一方光は、何かかが吹っ切れたようなスッキリした表情で微笑んでいる。
告白直後と、心理的な立場が逆転しているのが一目瞭然だった。
「恋人候補になったからには、俺もう抑えないよ。…覚悟してね」
今まであまり気になってなかった光の身長が、ここにきてとても大きく感じた。
出来の良い弟というイメージが、この数分間で粉砕される。
「樹理さん、この飲み物運んじゃおう」
光はいまだに目を丸くしている私を促して、颯爽と店へと戻っていった。