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瞳で抱きしめて
第5章 新生活

すぐに唇は離され、緩めた腕の中に私を閉じ込めたまま光が口を開く。
「樹理さん、俺が嫌い?」
至近距離で見つめられると、正直とても緊張した。
ただでさえ整った顔立ち。
光は所謂、美少年だろう。
美しい顔立ちに、その上、この瞳だ。
見つめられると、逃げられない。
光が持っている、私にとっての一番の弱点。
朝焼けを待つような、透き通った灰色の朝の空みたいだった。
早鐘を打つ胸の音と上気しつつある顔を察せられないよう、私は小声で答えた。
「嫌いじゃない」
「じゃあ、好き?」
「うん…」
「なら……近いうちに恋人候補から昇格できる?」
「…」
もちろん、光のことは好きだった。
ただ、彼の期待する“好き”なのかどうかは、今の私には確信できない。
いくら彼が私のことを慕ってくれているのだとしても、不確実な言葉で光を惑わすことはしたくなかった。
だから私は、こんなことを口走ってしまったのだった。
すぐに後悔することを知らずに。
「光。光にはきっと、もっと若くて素敵な人が」
「樹理さん、俺が嫌い?」
至近距離で見つめられると、正直とても緊張した。
ただでさえ整った顔立ち。
光は所謂、美少年だろう。
美しい顔立ちに、その上、この瞳だ。
見つめられると、逃げられない。
光が持っている、私にとっての一番の弱点。
朝焼けを待つような、透き通った灰色の朝の空みたいだった。
早鐘を打つ胸の音と上気しつつある顔を察せられないよう、私は小声で答えた。
「嫌いじゃない」
「じゃあ、好き?」
「うん…」
「なら……近いうちに恋人候補から昇格できる?」
「…」
もちろん、光のことは好きだった。
ただ、彼の期待する“好き”なのかどうかは、今の私には確信できない。
いくら彼が私のことを慕ってくれているのだとしても、不確実な言葉で光を惑わすことはしたくなかった。
だから私は、こんなことを口走ってしまったのだった。
すぐに後悔することを知らずに。
「光。光にはきっと、もっと若くて素敵な人が」

