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瞳で抱きしめて
第1章 家出?
━━━━━*
「着いたよ」
「え、ここって」
「うち店やってるの。どうぞ」
樹理に促されるまま入ったそこは、小さなコーヒーショップだった。
光も何度か店の前を通ったことがあった。
樹理の家は、案外光の家の近所だったのだ。
中に入ると、カウンターが4席と、小さなテーブル席が2席。いずれも空席で、店内には珈琲の香りが漂っていた。
「お姉ちゃん!!遅いよ!もう17時すぎちゃってるんだけど!」
店の奥から出てきたのは、樹理とは対照的に、ゆるくウェーブのかかった髪を明るく染めた華やかな印象の女性だった。
「15分しか過ぎてない。予約は19時なんでしょ?十分間に合うじゃん」
「待ち合わせが半なの!もー!私もう行くからね!……て、どちら…?」
慌ただしく店を出ていこうとした妹は、姉の後ろに立っていた泥だらけの少年を見つけて動きを止めた。
「え、怪我してる?え?どうしたのこの子?お姉ちゃん?」
「拾った」
「「え?!」」
思わぬ言葉に光も妹と同時に声をあげる。
「大丈夫だから。ほら、もう行くんじゃなかったの」
「あ…うん。じゃあ行ってくるけど…」
その子どうするの?訝しげな目を姉とその隣のボロボロの少年交互に投げ掛けながら、それでも時計を気にして妹は出ていった。
「今のは妹の真理。こっちへ来て」
更に促されて店のカウンターの奥にあるドアを開くと、そこから先は自宅のようだった。
樹理は光を脱衣場へ連れていくと、ジャージとタオルを手渡した。
「そこの戸開けると風呂場だから。汗と泥、流してきなよ。ジャージは私ので悪いけど。じゃあ、店の方にいるから」
それだけ言うとドアを閉めて行ってしまった。
「着いたよ」
「え、ここって」
「うち店やってるの。どうぞ」
樹理に促されるまま入ったそこは、小さなコーヒーショップだった。
光も何度か店の前を通ったことがあった。
樹理の家は、案外光の家の近所だったのだ。
中に入ると、カウンターが4席と、小さなテーブル席が2席。いずれも空席で、店内には珈琲の香りが漂っていた。
「お姉ちゃん!!遅いよ!もう17時すぎちゃってるんだけど!」
店の奥から出てきたのは、樹理とは対照的に、ゆるくウェーブのかかった髪を明るく染めた華やかな印象の女性だった。
「15分しか過ぎてない。予約は19時なんでしょ?十分間に合うじゃん」
「待ち合わせが半なの!もー!私もう行くからね!……て、どちら…?」
慌ただしく店を出ていこうとした妹は、姉の後ろに立っていた泥だらけの少年を見つけて動きを止めた。
「え、怪我してる?え?どうしたのこの子?お姉ちゃん?」
「拾った」
「「え?!」」
思わぬ言葉に光も妹と同時に声をあげる。
「大丈夫だから。ほら、もう行くんじゃなかったの」
「あ…うん。じゃあ行ってくるけど…」
その子どうするの?訝しげな目を姉とその隣のボロボロの少年交互に投げ掛けながら、それでも時計を気にして妹は出ていった。
「今のは妹の真理。こっちへ来て」
更に促されて店のカウンターの奥にあるドアを開くと、そこから先は自宅のようだった。
樹理は光を脱衣場へ連れていくと、ジャージとタオルを手渡した。
「そこの戸開けると風呂場だから。汗と泥、流してきなよ。ジャージは私ので悪いけど。じゃあ、店の方にいるから」
それだけ言うとドアを閉めて行ってしまった。