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私立S学園高等部
第4章 Pink Prisoner
「誰だよ、朝っぱらから…。」
ブツフツ文句を言いながら先輩は携帯をとった。
「うわっ!!忘れてた!!やべっ!!」
先輩は慌てて服を着替えだした。
「ゴメン、樹理。今日外出予定のヤツに俺、服を貸す約束してたんだけどすっかり忘れてた!!今から部屋戻ってくるわ!!また後でここ戻ってくるから!!」
先輩は服を着て慌てて部屋を出ていった。

私はまだ寝ぼけている。
裸のままお布団の中で眠っているのか眠っていないのか、って感じだ。

そんな中今度は私の携帯の着信音。
「ん?誰?」
あーこの辺に携帯置いたかなと手探りで携帯を探し掴む。

携帯を見ると…。

「え…?」

寝ぼけていた私は先輩の携帯を掴んでいた。
そしてその待受画面が写し出されていた。

「これ…。」

その画面に写っている美しい女性が今週、生徒会で集まった時に見た故岬はるか先生だと寝ぼけている私でもすぐに分かった。

そしてその隣にはうちの小学部の制服を着ている四年生位の男の子…。
その顔に先輩の面影があった。

わざとじゃない。
たまたま見ちゃっただけ。
別に先輩は浮気や不倫とかしてる訳じゃない。

先輩の昔の思い出の写真なんだろう。
でも。

どうして敢えてこの写真なの?

寝ぼけていたはずの頭がこの写真の意味を考えようと必死に動いてる。

『忘れられない人』

そう言えば…。まさか…。

部屋のドアをノックする音。
「樹理ーただいまー!!入っていい?」
ぼんやりしていて返事もできなかった。
先輩が出て行ったあと内から鍵をかけたりしなかったので先輩はそのままドアを開けて入ってきた。

私は先輩の携帯を持ったままだった…。

「樹理、それ俺の携帯…。」
「あ、あ…。間違えちゃって…。」
事実、寝ぼけて間違えて先輩の携帯を掴んでいただけなんだけど…。
気まずい…。

先輩に携帯を渡す。

「ねぇ…。その人って岬さんのお母さん?」

見たのも事実。
気になってるのも事実。
誤魔化せなかった。

先輩は少し驚いた顔をして私の方を向いた。

「見ちゃったというか見えちゃった…。」

先輩は溜め息を一つついて苦笑いした。

「そう、俺の初恋の人。」

先輩はベッドに座った。
お互い相手の事を見ているようで目は合わない。



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