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その恋受け取ります
第2章 天敵、現る
佳織はすぐには戻ってこなかった。
5時を告げる時計のチャイムが鳴り終わる頃、
機嫌のよさそうなやわらかい顔つきで戻ってきた。
そしてまっすぐ未和へと近づいてくる。
「彼、今年35になるんだって。見た目より歳いってんだねぇ~
恋人も奥さんもいない、まるまるフリーだってさぁ」
未和の耳元にわざと息を吹きかけながらそう囁いた。
ビクッと体を震わせた未和は、マッハのスピードで振り返る。
「な!なんでそんな事私に言うんですか!」
「だってぇ、知りたいだろ?知りたそうな目つきだし・・
それに別に困ることもなかろう?知ったところで」
このオバはんはどこまで意地悪く人の心に種を蒔いていくんだよ・・!
アタシにあのイケメンを好きになれってか?いやだよ!・・・
仮に100歩譲って好きになったとしてもどうせかないっこないんだから、無駄無駄!
未和はもう相手にするのをやめ、フンと鼻を鳴らしてから
自分のデスクにむかって歩き出した。
素直じゃないぞぉ、とふやけた声を背中に浴びながら。