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その恋受け取ります
第5章 事件勃発!
悠月と2人きりである緊張に加え、一番の目的である荷物を無事に
正しい場所へ届けるまでは気持ちが落ち着かない。
それが無口にさせる原因であることは間違いない。
それにしても・・
沈黙は想像以上に圧をかけてくる。
なんでもいいからなんか言おう。
そこで未和の口から飛び出たのは・・
「き、今日はいい天気でよかったですね」
次の瞬間、悠月の喉の奥から息が破裂したような音がして、すぐに笑い声が渦を巻いた。
しばらく笑う悠月と笑われる未和を乗せた車は、
あふれる車群の中を何事もないかのように走り続ける。
やっと信号で止まった時には笑い声はやんで、エンジン音だけが響いていた。
「岩倉さん」
名を呼んでから悠月が未和に顔を向けた。
「荷物が無事届けられるまでは落ち着かないんでしょ?
無理してしゃべんなくてもいいよ」
口をへの字に結んだ未和は、黙って頷いた。
彼の配慮がとてもありがたい、その感謝の気持ちを胸に抱えながら。
その後悠月のかけたCDのボサノヴァに集中しながら
窓の外を流れる景色を眺めつづけた。