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愛し愛され
第2章 寒山寺の鐘の音
携帯に取り込まれた自分自身のセクシーなショーツの写真を見ながら、メール画面を起動し、彼女は博人のメールアドレスを選択する。そして撮ったばかりの写真を添付する。
タイトルを書くのが面倒になって空欄のまま、本文欄には次のようなとても古い歌の歌詞を引用した。
君がみ胸に 抱かれて聞くは
夢の船唄 鳥の唄
水の蘇州(そしゅう)の 花散る春を
惜しむか柳が すすり泣く
これから博人と何かが始まるのだろうか、とさほ子は思う。
このまま、何も変わらないのも面白い。あるいは博人に抱かれてみるか。抱かれるように彼を誘導することもできるだろう、と思う。
もし、自分が彼に対して心を開く時がくるなら、その時は素直にその気持ちに身を委ねてみようと思う。
とてもエロティックなショーツの写真と、古い歌の意味ありげな歌詞。
そのモンタージュがどんな意味を持つのか、それはなかなか興味深い化学変化だな、とさほ子は思う。