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愛し愛され
第3章 腰元のVサイン
さほ子は、ホームに近づいていく電車の中から、博人に気づいていたに違いない。
なおかつ、つれあいの男性にはその気持ちを隠し切っていた。
そして、博人にだけ、こっそりと親密な目配せを送ってくれた。
あの、黒いヒップハングのランジェリーの写真が、白い柔らかそうなAラインのコートを着た彼女にオーバーラップする。
博人は何度もそのメールを読み返し、そしてその意味を汲み取ろうとした。
そしてそこには何の意味もないのだ、と結論した。
時候の挨拶のようなものだ。さほ子なりの。そしてわずかに、煮え切らない彼をなじるニュアンスを、そのセクシーなショーツの写真に感じた。
それも含めたさほ子の微笑だった。
こんばんわ。おひさしぶり。
元気だった?
私もこのとおり、素敵な恋人と楽しくしているわ。
あなたの彼女も素敵なひとね。
ねぇ、いまでもあたしとセックスしたいって思う?
ふふ。
それはあなた次第なのよ。