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愛し愛され
第4章 ペチカ燃えろよお話しましょ

そして不意に、彼女は気づく。



自分が猛烈に求められていた、ということに。

あの人は、彼女を手際よく淫乱な女に仕立てあげる。彼女も気づかぬぐらいのスピードで、ランジェリーと一緒に理性も日常も、何もかもを取り去ってしまう。しかし、博人は何物も、さほ子から取り去らない。その代わり、誰にもできないやりかたで、彼女の心を裸にさせる。とても自然に。とても不器用に。

いや違う。

彼は何をするのでもない。

ただ単に、彼女を心の底から求めているのだ。ただ、それだけなのだ。

身体を流れるシャワーの水流が遠ざかり、浴室の中の水音が消える。

そう、彼は、こんなデタラメな私を、あんなにもストレートに求めていたのだ。

それに、いま気づいた。

―――いままで、気づけなかった。



肌を重ねれば嘘などつけない、と思っていた。しかしそれは違った。

彼女は自分の心にさえ、嘘をついていた。

セックスで、誰かを愛してしまうのが怖かったから。

夫以外の誰かを。


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