この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛し愛され
第4章 ペチカ燃えろよお話しましょ

そして不意に、彼女は気づく。
自分が猛烈に求められていた、ということに。
あの人は、彼女を手際よく淫乱な女に仕立てあげる。彼女も気づかぬぐらいのスピードで、ランジェリーと一緒に理性も日常も、何もかもを取り去ってしまう。しかし、博人は何物も、さほ子から取り去らない。その代わり、誰にもできないやりかたで、彼女の心を裸にさせる。とても自然に。とても不器用に。
いや違う。
彼は何をするのでもない。
ただ単に、彼女を心の底から求めているのだ。ただ、それだけなのだ。
身体を流れるシャワーの水流が遠ざかり、浴室の中の水音が消える。
そう、彼は、こんなデタラメな私を、あんなにもストレートに求めていたのだ。
それに、いま気づいた。
―――いままで、気づけなかった。
肌を重ねれば嘘などつけない、と思っていた。しかしそれは違った。
彼女は自分の心にさえ、嘘をついていた。
セックスで、誰かを愛してしまうのが怖かったから。
夫以外の誰かを。

