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猫好き男子と大人な部長
第13章 青天の霹靂
 助手席に架恋を乗せ、高倉の車はゆっくりと駐車場から細い路地へと出た。

 前回と違い、今日は雨が降っていない。

 しかし、天気とは裏腹に、架恋の心の中は土砂降りだった。

 すぐに口を開く高倉。

「石橋君さえよければ、家までお送りするよ」

「え?! でも……そんな……。申し訳ないですよ……! 車でも1時間弱はかかると思いますし」

「私は今日はもう何も予定がないし、それに何よりも、石橋君のことが心配でね。今日は終始、うつむき加減で元気がなさそうだったから」

 総務部の女子社員のほとんどが憧れを抱いている高倉部長の車の助手席に乗せてもらっているばかりか、そんな風に様子を見ていてもらえていたと知り、「望外の幸せ」だと感じる架恋。

 しかし、架恋の心の中は、高倉のことよりも修馬のことに、その大部分を占められていた。

 心から信頼していた修馬に、手ひどく裏切られた悲しみに。

 もっとも、傷が真新しすぎて、架恋にとっては、まだ少しも心の整理がついていない状態だったが。




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