この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
猫好き男子と大人な部長
第15章 大人な部長
「結局、そのオルゴールは、元通りには戻らなかった。特注品だったらしくてね。取り返しのつかないことをしてしまったことを自覚した私だったが、ただただ謝ることしかできなかった。それなのに、妹は一言も、私に対して文句を言ったり、私を非難したりはしないんだ。私は『大きくなったら、オルゴールをプレゼントする。もちろん、あの宝物だったオルゴールと同じ物は不可能だし、そんなことをしたところで、何の償いにもならないんだけど』って、妹に言ったら、妹は『気にしなくてもいいのに。でも、貰えるものなら、喜んで貰うよ』と言って笑った。私にあんな酷いことをされたのに、笑って許してくれたんだ。ところが、私はその後、東京の大学へ行くために故郷を離れ、その約束を守れないままに今日まで来てしまっていた。だけど、先日たまたまテレビでオルゴールを見て、その約束を思い出し、『そういえばもうすぐ妹の誕生日だったな。今度こそ、オルゴールを』って思ったんだ。つまらない話を長々とすまないね。そういうわけで、オルゴールを買いたいと思ったんだよ」
話し終わった高倉は、ハンドルを大きく左に切る。
ショッピングモールの駐車場入り口へと入っていった。
話を聞いてるうちに、幼少期の高倉とその妹とのやり取りが、どこか現在の修馬と自分に通じるところがあるように思えて、他人事とは思えなくなっていた架恋が言う。
話し終わった高倉は、ハンドルを大きく左に切る。
ショッピングモールの駐車場入り口へと入っていった。
話を聞いてるうちに、幼少期の高倉とその妹とのやり取りが、どこか現在の修馬と自分に通じるところがあるように思えて、他人事とは思えなくなっていた架恋が言う。