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口琴
第12章 惜別の涙
朋香との関係が、妻にバレるまでにそう時間はかからなかった。

女の勘ってやつは怖いもんだ。

それでもお前が二歳になるまでは、彼女は辛坊を続けたが、それ以上はもう無理だった。お互い心はズタズタだったんだ。

離婚が成立し、私は朋香の両親の反対を押し切って再婚したが、彼女がその後どうしたのか、全く分からなかった。

何年か後に、彼女はオーストリアへ行って再婚したとの噂を耳にしたけど、それ以上は何も分からない。

今日、あの子を見て驚いたよ…。まさかって…。

ダニエルと同じ翡翠色の瞳…。前の妻…梨絵とダニエルの子だ…。

…聖…。あの子は…駄目だ…。二度と…会ったりしては…」

惣一の話は、それ以上続かなかった。

聖は俯いて、ガタガタと震えていた。怒りとも恐怖とも言えぬ得体の知れない震えが、止まらなかった。

何をどう受け止めたらよいのか…。惣一の話に思考が追い付かない。

何?…どう言う事…?

俺と蕾は…兄妹…?

何だよそれ…安っぽいメロドラマじゃあるまいし…。

「はっ…ははっ…」

聖は笑い飛ばそうとしたが、顔の筋肉がひきつって上手く笑えない。

ゆっくりと顔を上げ、窓に映る自分の顔を見た。

今にも雨が降りそうな空。暗く歪んだ景色に、恐ろしく同化する哀しい少年の顔がそこにあった。

なんて間抜けな面してんだ…俺…。

大粒の雨が、窓ガラスを叩き始める。

雨粒は、窓に映る少年の頬を濡らしては流れた。

俺…泣いてるみたいじゃん…。

強く握った少年の手の甲には、ポタリ…ポタリといくつもの雫が流れ落ちていた。
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