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口琴
第5章 蒼い果実
突然の声に、蕾の躰がビクン!と跳ねた。

北川だった。

北川は、蕾の紅潮した顔を見ると、すぐに状況を察したが、気付かぬ振りをして言葉を続けた。

「蕾さん…ここはお坊っちゃまのアトリエです。勝手に入ってはなりません」

蕾は、慌ててスカートから手を出すと、北川に背を向けて、裾を整えた。

まだ、呼吸は整っていなかったが、北川に自分の恥ずかしい秘め事を悟られないように、必死で平然を装って訊ねた。

「こ、この絵の子達は…?」

「…この方々は…お坊っちゃまを愛した方々です…。蕾さんも、このお仲間になれたのですよ…?」

「…愛した…?この子達が?あのおじちゃんを愛したの?私は違うわ!あのおじちゃん大嫌い!」

「フフッ…そんな事を言えるのも、今のうちです…」

「…?…」

「…あ…いえ…その…。そ、そんなことより、早くお帰りになりたくはないのですか?先程からずっとお待ちしておりましたのに…」

「そうだわ…私…帰らなくちゃ…」

「さ…さあ、こちらへ…」




このアトリエは、中條が幼い頃からの趣味でもある油絵を描く為に作られた部屋だった。

始めの頃は、風景画や静物画や人物画など、ごく普通の絵を描いていたが、やがて思春期を迎えた中條は、美しく幼い少女ばかりを被写体にするようになり、次第にそれが性的な興味へと変わっていったのだ。

こっそりと、モデルの幼い少女に悪戯しては、その行為を絵に描き残し"悦"に浸っていた。

勿論、口封じの為に親が金を積んでいた為、公の事件になることはなく、寧ろ金の為に幼い娘を売ろうとする者もいた。

純真で無垢な少女を汚す行為は、思春期の中條の性欲を異常なまでに奮い立たせた。

その成れの果てが、現在の腐りきった中條だ。


初々しい少女期は、儚くも短い…。

"旬"を過ぎた者は、素振りや服や嗜好を真似ても、到底優る事は愚か、肩を並べることすらあり得ない。

中條の性の対象は、この蒼すぎるとも言える時期にある美少女達以外にあり得ない。

こうして長い間中條は、自分の異色な欲望の為に、財力と権力を振りかざし、他人の弱味に付け込んでは、幼い美少女達を手込めて、その少女達の最も美しい破瓜を散らす瞬間を描き続けていた。

この絵は全て、自らの手で無垢を汚した証なのだ。


アトリエを後にする蕾の後ろ姿を、絵の中の彩乃がじっと見つめていた…。
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