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Lullaby
第1章 *
月の光がレースのカーテンの隙間を縫うように挿しこんてくる。
その光は僅かでもお互いの表情を見るのには十分で、
貴方は余裕そうに私の頬を撫でキスを落とす。
首から始まり徐々に下へと落ちていくチクリという痛み。
「栞は肌が白いから目立っちゃうね」、なんて言いながら身体中にキスを落としていく。
今晩も月が綺麗ね、なんてボソリと呟けば貴方は愛撫をやめ私の首を絞める。
「…ッ。 まっ……しぃっか…ら…!」
まだ死にたくなくて必死に助けを乞う。
それでも狂気に満ちた彼の手に入っている力は緩むことなく増していく。
痺れを増す右腕を必死に動かし彼の頬を撫でる。
次第に首を絞める手の力は抜け、ゲホゲホと蒸せ返る。
「栞が悪いんだよ…? 僕のことちゃんと見てないから…」
いいじゃないも無機物に対する言葉ぐらい、なんて言おうかと思ったけどやめた。
まだ死にたくないの。
私はまだ、貴方を救っていないから。