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イカせ屋稼業
第3章 そのさん
『捨てたもの?』

『はい、珈琲。
言ってたじゃん。
〔過去のものは〜〕って』ソファーに座るよう促し、2人して座って珈琲を飲む。



『…………ひみつ』


『………何だそれ、
ずりぃよ(苦笑)
俺が捨てたもの知ってるのに!』
翔汰は思わず噴き出した。

拓矢は、
翔汰には気付かれない憂いを秘めた目を伏せ……

『いつか言うよ(笑)
生き残れたら』
と静かに溢した。





2人はだらだらとDVDを観て過ごす。
「ダオンタウンの〔笑ってはいけない〕シリーズ」
を延々観る。



お弁当を食べてお酒をちびちび飲んでいると、
拓矢が寝息を立て始めた。


『拓矢っ。
ベッド行けよ、ソファーじゃ風邪引くよ』


翔汰は拓矢の身体を抱えて立ち上がる。

『重いっ……
おい、起きろって』


『ん………』
薄目を開けて『悪い、
寝かして…』とベッドへとフラフラ向かう。


(あ…
そうだ。撮影終わりに顔色悪かったじゃん!)


誰も訪れないマンションに拓矢が来たことで、
気を取られてすっかり抜けていた。


『拓矢、
大丈夫?気分悪いのか?』とベッドへ駆け寄る。


長くしなやかな身体をベッドに横たわらせ、
拓矢は寝惚け眼で『………………気持ち悪い………
………がほしい…………』と呻く。


『え?何て?』
拓矢の顔に耳を寄せると…………


グイッと引き寄せられた。
翔汰はバランスを崩してベッドに手を着く。
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