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イカせ屋稼業
第5章 そのご
すずもマスクをして、
ちょこんと立てっていた。


『待った??』
翔汰が駆け寄る。


『ううん、
待ってないよ〜。
何か食べ行く?』


カップルらしく、
さりげなく手を繋ぐ。



『すずちゃん、
お肉以外は大丈夫なんだよね。
魚料理が美味い個室の店でいいかな』



『うん!
魚は何でも好きだよ。
行こう行こう♪』


すずは黒髪をサイドで編みベレー帽を被り、ドット柄のふんわりしたシャツにハイウェストのショートパンツを履いている。

生脚にリボン付きブーティ。
バッグはノーブランドで、翔汰の好きな格好だった。奥二重で黒髪。
派手なメイクもせず、パッと見ではフツーに女子大生に見える。

翔汰は〔如何にも最先端取り入れてます〕
という垢抜けた女性よりも、
すずのような小さくて可愛らしい感じが好みである。



もっとも、
〔どちらかというと〕であり好きになったらファッションの嗜好は関係ないといえばないけど。



学生時代モデルをやっていたからか、
どうも垢抜けた雰囲気の女性はキツく感じてしまう。


翔汰自身も雑誌モデルをしていた割には洋服には拘りがなく、
今日はラフな白いVネックカットソーに細身のブラックカーゴパンツだった。
ゴールドのチェーンネックレスに、
腕時計。

足元はごつめの編み上げブーツ。



手を繋ぐとドキドキと鼓動が伝わってきて、
思わず照れ隠しに咳き込んだ。

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